音楽の持つ力~好きな歌はありますか?~

介護施設で働いていた頃のお話。

『起きる』『寝る』『食べる』『トイレ行く』ことを
介助する業務に追われてしまいがちな介護の仕事ですが
『楽しむ』ことを提供するのもお仕事の1つ。

ここに時間を割くのが正直なかなか難しいんだけど
業務の合間に少しだけでも…と、キーボードを持ち出して
懐かしの歌を歌っていただくレクリエーションを
たま~にですが、やっていました♪♪♪

童謡をはじめ、「青い山脈」や「赤いリンゴ」「東京ブギウギ」「高校三年生」など
それはそれは、皆さん楽しそうに歌ってくださって…。

施設に入所したての怒りんぼのおじいちゃんが
初めの頃は「うるさいっ!歌うな!ここには居られん!」なんてプリプリしていたのに、
翌月には「懐かしいなぁ」と一緒に歌うようになったり、
一日中うたた寝していたおばあちゃんがイントロを聴いた瞬間、ムクッと顔をあげて大きな声で歌われたり、
いつも不穏で落ち着かず、車椅子であちこち動き回っていたおばあちゃんが
歌の時間だけはその場を離れず、滅多に見せない笑顔を見せてくださったり…。

歌の効果を目の前で感じることがたくさんありました。

中でも忘れられないのが・・・
長く入所されていたおじいちゃんが急変して入院。
命は救われたものの、ほぼ昏睡状態で施設に戻って来られました。
認知症でお身体も全介助だったけど、会話が楽しくて
スタッフみんなが大好きだったおじいちゃんが
再入所されてからは起こしても声を掛けても眠ったままで
「前みたいに話そうよ~」と我々スタッフも切なくて…。

そんなある日、私が歌のレクリエーションをしているところに
他のスタッフがおじいちゃんを車椅子に乗せて連れてきてくれました。
耳は聴こえているはず!と、他の利用者の方々と
いつもより大きな声で『ふるさと』を歌おうということに。

そしたらね、1番を歌い終わる頃にね、
そのおじいちゃん、突然目をパッと見開いて、
大きな声で「うわぁぁぁぁ~」と泣き出したんです(ToT)

もうビックリ!そして感激。
私もスタッフも他の利用者さんも泣いちゃいましたよ。

歌ってスゴイ!

5年ほど前に『パーソナル・ソング』というアメリカの映画が公開されました。
認知症の方が自分の好きな歌を聴くことによって、
その曲やその頃の仕事、家族のことを思い出して、
語り始めたりする…という奇跡の場面が映し出されているドキュメンタリー映画です。
音楽療法のすごさ、素晴らしさが心底分かります。
7分程度の特別映像を観るだけでも「音楽ってスゴイ!」
と感動するので、ぜひリンクをポチっとしてみてください☆
(上↑の『パーソナル・ソング』の文字をポチるとYouTubeに飛びます)

音楽の力は
徘徊や苛立ち、興奮状態を抑えることができたり、
脳が活性して昔のことを思いだしたり笑ったり泣いたり、
無意識に喉が開いて嚥下状態が向上したり、
昔の自分を取り戻したり(一時的でも)、
様々なところに効果があるそうです。
もちろん、認知症や疾患のある方全員に…というわけではありませんが。

もし自分が認知症になってしまった時、
好きな音楽を聴かせてもらうとしたら…

もし親が大きな病気などで反応がない状態になってしまった時、
好きな音楽を聴かせてあげるとしたら…

どんな歌、どんな曲がいいですか?

私が好きな音楽を誰かに伝えておくこと
親が好きな音楽を知っておくこと

今だからできること。

大切な終活だと思います。

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