手から伝わるコミュニケーション~目に見えるケアから始まること~

私はいま、デイサービスで単発のお仕事もしています。
医療・介護の派遣会社から定期的に
「この日この施設が人手不足です」という案内が届き、
日程と場所が合う所に行くというシステムなので
毎回同じ施設というわけではありません。
派遣介護士として、様々な施設で働かせていただきましたが
どの施設でも気になることが1つあります。

利用者様の爪の長さです。
もちろん全員というわけではないですが
爪が伸びっぱなしという方がけっこう多いんです…。

派遣介護の業務は、施設によって若干違ってきますが
午前中は入浴介助を担当することが殆んどで
髪や身体を洗ったり、浴槽に入られる時の見守り、
自分で身体を動かすのが難しい方は全面的に介助します。
ここで重要なのが、利用者さん皆さんの全身の観察
キズ、皮下出血、赤み、腫れ、発疹などがないかどうか、介助しながらしっかりと確認します。
その最中で、爪の長さが気になってしまうことが多いんです。

以前、社員として働いていた老人ホーム(入所)では、
職員の誰かが爪を切らないと伸び放題になってしまうので
私が頻繁に利用者様の爪切りをしていたのですが、
(私の顔を見ると「爪切ってくれる?」という利用者さんもいました(笑))

たまに行くデイサービスで、スポット勤務の立場では
常勤スタッフの方に
「〇〇さん爪伸びてますよ」とは正直言いにくい。
「分かってるけど時間がない(ーー゛)」と言われそうだし。
人手が足りないから派遣を依頼しているわけだし。。。
また、ご自宅(ご家族と同居)から通われている利用者様なら、デイサービスでは爪切りは行わないという所もあります。

ちなみにこの爪切りは法律上医療行為となっていて、
以前は介護士がおこなうことのできないケアだったのですが
・爪そのものに異常がないこと
・爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がないこと
・糖尿病等の疾患に伴う専門的管理が必要ではないこと
・爪切りで切ること及び爪やすりでやすりがけすること
(『医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産婦看護師法第31条の解釈について』より)
この条件内であれば、爪切りは介護スタッフでもOKということになりました。

手の爪だけでなく、足の爪が伸びすぎると
爪が変形したり、靴を履くと中で当たって痛くなったり、
爪が割れてそこから菌が入って腫れあがったり、
歩きづらいから歩かなくなってしまう…という可能性もあるんです。

先日、お風呂の介助をしていて、数名の利用者様が
「この手足の爪の長さはさすがに危険!」なレベル。
午後少し時間ができた時、常勤スタッフの方と看護師さんに
「利用者さんの爪切りしてもイイですか?」と
思い切って聞いてみました。
「助かります!私もずっと気になってて…でも時間が取れなくて…」とのお返事でした(^^)/
…もっと以前から言ってみればヨカッタ…

しかしながら、もう一つ問題が。
私が一番「つめ切りたい!」と思っているおばあちゃんは
認知症がハイペースで進んでいる80代。
ちょっとしたことで急に怒っちゃうし
身の回りのことはある程度ご自分でできるので
「自分でいつもやってるから余計なことしないで!」って言っちゃうタイプ(-_-;)

そんなおばあちゃんにドキドキしながら声をかけたところ…

「まぁ☆彡切ってくれるの?嬉しいわ!」と快諾(≧▽≦)

爪が伸びているのは気になっていても
歳をとって目が悪くなって細かいところが見えづらい
利き手の爪を切るのがけっこう怖い
(利き手じゃない方の手って爪切りが持ちづらいでしょ)
足の指に手が届かない
気合いが要る作業はおっくうになっている
こういう理由でしばらく爪を切っていなかったことをお話ししてくださいました。

また、同居の娘さんには何となく頼みづらいそう。
いつも「できることは自分でやって!」と言われてると。
確かに高齢の方や認知症の方は、
自分でできることでも人任せにしがちで、
そうすることによって、どんどん体が動かなくなり
認知症の症状も進んでしまう…。
だから娘さんのおっしゃることもよく分かります。。。
普段一緒に過ごしていても、手や爪までよく見ることって無いでしょうし。。。

爪をパチンパチンと切っている間、
そのおばあちゃんはずっと話し続けられていました。
すぐ怒っちゃうのも、淋しかったせいかもしれない。
自分に厳しい人だったのかもしれない。
そんなふうに思いながら、お話を聞いていたら
おばあちゃん、急に何も言わなくなったので
ふと顔を見上げると…

泣いてる・・・
静かに、声もあげずに、ホロホロと涙がこぼれていて…

こんなに優しくしてもらって
こんなに長く手を触ってもらって
とても嬉しいって・・・。

色んなことにドキドキして
なかなか出来なかった爪切りでしたが、
おばあちゃんの心の中を見ることができて
こんなふうに喜んでいただけて
私にとっても嬉しく、あたたかいひとときになりました。

高齢になると自分で出来なくなることが多くなり、
体の変化を誰かに気付いてもらえる機会が少なくなります。

皆さまは、ご自分の親や、おじいちゃんおばあちゃんの手をよく見たり、手に触れたりすることってありますか?
大人になってから、親の体に触れること自体めったに無いですよね。

触れるのはさすがに恥ずかしいかもしれませんが(^^;)
今度会う時に、意識して手や爪を見てみてはいかがでしょうか?
私たちが子どもの頃は、親やおじいちゃんおばあちゃんの その手にたくさん触れられてきたのですから♪

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